2019年は仮想通貨にとってどんな一年でしたか
2018年は仮想通貨のプレゼンスが拡大した結果、社会ルールとの齟齬から様々な問題が噴出した、人間でいえば無邪気な子供から思春期に突入した年だと申し上げた。この例えに沿えば、2019年は大人社会の厳しさを痛感させられた社会人1年目といったところだろうか。 一番心に残っているのは3月の暗号資産関連法案(改正資金決済法・金融商品取引法)の成立、新規交換所登録の再開などが続き仮想通貨業界に春が到来したこと。ただ相場の反落などもあり、8月以降、国内の盛り上がりは後退してしまった。世界でもフェイスブック社のリブラがゲームチェンジャーとして期待を集めたが、各国当局の批判が集中、実質延期を余儀なくされた。 しかし、皮肉にもそれがかえってG20等でのグローバルな規制やCBDCに対する議論を早める格好となった。
2020年、仮想通貨やビットコインにとって大事なキーワード・テーマ、あるいは取り組みたい課題は?
「実需取引(トークン経済)の拡大」
仮想通貨が社会の一員として認められるためには、社会にとって役に立つ、実需取引が拡大する必要がある。特にアルトコインは実用性を示さない限り淘汰が進んでいくと考える。一方で、リブラの登場は、トークン経済の到来の予感を確信に変えた。なぜ警戒されるかといえば放っておけば多くの人が利用するからだ。ブロックチェーンのブレークスルーは、コピーが出来ないデジタルデータを生み出したことに加え、従来は銀行などの仲介者を必要としたお金の受渡の物理的制約を超越したこと。そういう意味で、インターネットのお金であるビットコインとブロックチェーンとを別物とする考えには与しない。リブラか、CBDCか、XRPか、一体どのトークンが普及するのかはまだ勝負がついていないが、送金や決済の分野でトークン利用が拡大する方向性は止められないだろう。そうした実需取引が普及するに従い、ブロックチェーンのオリジナルであるビットコインのデジタルゴールドとしての人気は高まると考える。
2020年の仮想通貨以外の注目ポイント/技術/トピックは
「米景気後退」
全米経済研究所では2四半期連続でGDPが前期比マイナスに陥ることをリセッションと定義するが、最後のリセッションが終わった2009年6月から10年を経過、景気拡大局面はアメリカの歴史上最高を更新中だ。FRBは今年の3度の利下げを予防的とし、これによって世界は不況入りを免れたとの考え方が広がっている。これは政策技術の向上により人類は景気循環を克服したと言っているのに等しく、おそらくはいずれ不況はやってくるし、それが2020年である可能性は高い。米国のリセッションは直接的影響ではないかもしれないが、湾岸戦争や、同時多発テロ、リーマンショックといった歴史的惨事を招き易く、世界に与える影響は計り知れない。世界中の政府は輸出ドライブによる景気回復を目指し、自国通貨安競争も激化しよう。法定通貨の価値に疑義が浮上しやすい中、上がってもだれも困らないデジタルゴールドの人気が高まるものと予想している。
2020年末のビットコイン最高価格と最低価格の予想(ドル建て)とその理由
回答なし
ビットコイン以外で注目のコイン(リブラや中央銀行デジタル通貨など含む)とその理由
「XRP」
お金の受渡に際する空間的制約を打ち破ったのがブロックチェーンの革新性だ。銀行経由の送金だろうが、送金業者経由(ODL利用を除く)であろうが、手形の取り立てであろうが、何らかの形で仲介者が内部で振替えるか、相殺などを行っている。究極的に、円を決済するには、現金を直接渡すか銀行の自行内か日銀当座預金内で振替えるしかない。一応、現金を郵送する方法もあるが、危なくて仕方がない。こうした制約を打ち破り、地球の裏側ともトークンを直接受け渡せる方法の方が、仲介者がいない分、便利で速くてコストが安いのは自明だろう。後は、その媒介となるトークンがXRPになるか、JPMコインか、Fnalityか、DECPか、はたまたリブラか、まだ最終的な勝負はついていない。しかし、XRP以外はまだいずれも実用化されていない点で共通している。一方、XRPはテスト、実用化を経て、普及の段階に到達している。5年後や10年後には世代交代を迎えるかもしれないが、今後数年間の国際送金の媒介はXRPを中心に進んでいくのではないだろうか。この普及がどれだけ世の中を変えていくのか、今から楽しみだ。