ビットコインやイーサリアムと比べて「取引処理能力が高い」とアピールする分散型プラットフォームは多い。
しかし、取引処理能力の高さには何かしらの「代償」が伴うようだ。
イーサリアム共同創設者であるVitalik Buterin (ビタリック・ブテリン)氏が、ブロックチェーンの取引処理能力に関するよくある「誤解」について言及した。
重要なのは取引処理能力ではなく「安全性」
「たくさんの誤解がある。悪い仮想通貨プロジェクトは、”凄いBFTを使用しているので、1秒間に5000取引の処理できるのに対し、PoWは15取引しかできない”と主張している。」
(BFTとは、仮に嘘の情報が流れたとしても正しい情報をネットワーク上のノードが合意できる仕組みを持つシステムのこと。)
このように発言したのは、かねてより中央集権型のブロックチェーンを厳しく批判しているイーサリアム共同創設者、ブテリン氏。

Blockchain Connect Conference – Vitalik Buterin: Casper CBC and Ethereum 2.0
同氏によると、ブロックチェーンのコンセンサスメカニズム(合意形成)について話す場合は、「取引処理能力」ではなく「安全性」が重要だという。
「恐ろしい誤解もたくさんある。コンセンサスアルゴリズムの目的は、ブロックチェーンを高速にすることではなく、それを安全に保つことだ。」
また、取引処理能力を積極的にアピールするプロジェクトを以下のように批判した。
「ブロックチェーンプロジェクトが、”異なるアルゴリズムを使用しているため、3,500 TPS(取引数/秒)を処理できる”と主張した場合、それは”7つのノードしかない中央集権型のゴミ”であることを意味する。」
同氏の発言は、1000tps以上の処理能力を誇り実際に7つのノードに支配される、ネオに向けられた批判と捉えることができる。

NEO – An Open Network For Smart Economy
(しかし、ネオは「世界のコンピューター」となることを掲げるイーサリアムとは異なり、スマートコントラクトをベースとする経済「スマートエコノミー」の形成を目的としている。)
また、ブテリン氏は「ブロックチェーンを速くするための良い、正当な方法がある」と続け、シャーディングを始めとする「第一層」で拡張性問題を改善する技術や、ライトニングネットワークを含める「第二層」で行われる解決策を推奨した。
拡張性問題の解決が急がれるイーサリアムだが、「分散化」の概念は妥協しない姿勢をこれからも保つようだ。
原典:Watch: Ethereum Creator Says Crypto Projects Like EOS & Tron are ‘Centralized Piles of Trash’
ここまでの内容と考察
取引処理能力の高いブロックチェーンに関する誤解についてブテリン氏が言及したという、今回のニュース。
必ずしも全てのブロックチェーンが「分散化」を目的としているわけではないかもしれませんが、それを最重要視するイーサリアムのアプローチにはこれからも注目が集まりますね。
ちなみにですが、同氏は企業用のブロックチェーンについて、以前以下のような発言をしていました。
「企業を対象にしたブロックチェーンはたくさんある。(仮想通貨メディア)CoinDeskでIBMブロックチェーンについての記事を読んだ。深く理解しているわけではないが、特に目についた詳細は、IBMが全ての知的財産を所有しており、そのプラットフォームを他の企業が使えと言っていること。(このようなブロックチェーンの利用は)的外れだ。」
様々な解釈がされている「分散化」という概念ですが、これからもより多くの人の理解を得ることができるでしょうか。
この点では、やはりブロックチェーンや仮想通貨に関する「教育」が、それらが普及する過程でどうしても必要かもしれませんね。
今後も業界著名人の発言やブロックチェーン技術の発展に注目していきましょう!