BIS(国際決済銀行)ジェネラルマネージャーが、近い将来に中央銀行がデジタル通貨を発行することについて前向きな見解を示したことをFinancialTimiesが報じた。
各国の中央銀行が独自の法定通貨コインを発行するようになる日は、実はそう遠くないのかもしれない。
以前からCBDC(中央銀行デジタル通貨)や仮想通貨全般に批判的だった中央銀行の中央銀行「BIS(国際決済銀行)」が、CBDCに対する見解を大きく変えたようだ。
リブラ効果!?BISが中央銀行コインの後援か
BISジェネラルマネージャーのアグスティン・カーステンズ氏によると、世界の中央銀行が法定通貨をデジタル化したコインの研究や開発を行うことを、BISは支援しているようだ。
また、既に多くの中央銀行がこのような取り組みを開始しており、需要があればCBDCの登場は間もないという。
市場へ中央銀行のデジタル通貨を提供する必要が生まれるのは、思っているよりもすぐかもしれない。
かねてよりCBDCに悲観的だったカーステンス氏の心変わりは、フェイスブックを筆頭とする企業が手掛ける「リブラコイン」が関係している可能性がある。
今年6月23日に公開されたBISの年次経済報告書でも言及された、新たな「世界の基軸通貨」を生み出すことを目指すリブラコインが、一国の法定通貨に対する脅威になる可能性は完全に否定できない。
FTの取材に対して、カーステン氏は次のように述べたという。
問題は通貨がどのように使われるかだ。クレジット提供に使用できる情報やデータはあるか?また、データのプライバシーはどのように保護されるか?
そして、クリプトネットワーク規制において「即時で明瞭なこと」は、マネロンに関する問題解決だと付け加えた。
かねてよりデジタル通貨の取り組みに批判的だったカーステンズ氏が指摘したように、CBDCにおけるプライバシー保護の問題はそれの普及における懸念材料の一つになり得るだろう。
それというのも、元FRB(米国連邦準備制度理事会)議長が犯罪目的で使用される可能性がある「匿名性の高いデジタル版の現金」を問題視しているように、取引の追跡が困難で、プライバシー保護に長けている仮想通貨(=匿名通貨または”プライバシーコイン”)のようにCBDCが設計されるかどうかはわからない。
ビットコインはもちろんのこと、リブラコインのような企業が中心となるソブリン(独立した)通貨が法定通貨と競合するようになることが予想されている中、CBDC発行を否定した欧州中央銀行を始めとする世界の中央銀行の今後の動きに注目だ。